人(ひと)がみな

同じ(おなじ)方角(ほうがく)に向い(むい)て行く(いく)

それを横(よこ)より見(み)ている心(こころ)

これは石川(いしかわ)啄木(たくぼく)の短歌(たんか)の一つ(ひとつ)である。短歌(たんか)は日本(にほん)の伝統(でんとう)的(てき)な詩(し)で、基本(きほん)的(てき)に五(ご)・七(なな)・五(ご)・七(なな)・七(なな)の三(さん)十(じゅう)一(いち)の音(おと)でできている。

石川(いしかわ)啄木(たくぼく)は1886年(ねん)に岩手(いわて)県(けん)で生まれ(うまれ)た。借金(しゃっきん)が多く(おおく)、貧困(ひんこん)で苦しい(くるしい)生活(せいかつ)の中(なか)、短歌(たんか)などを作っ(つくっ)たが、病気(びょうき)で1912年(ねん)に26歳(さい)でなくなった。

この短歌(たんか)は、同じ(おなじ)ところへ向い(むい)てどこかへ行く(いく)他(ほか)の人(ひと)達(たち)を、横(よこ)から一人(ひとり)で見(み)ている気持ち(きもち)を歌っ(うたっ)ている。啄木(たくぼく)は、自分(じぶん)の人生(じんせい)と他(ほか)の人(ひと)の人生(じんせい)を比べ(くらべ)ているのだと思う(おもう)。

啄木(たくぼく)は、病気(びょうき)と貧困(ひんこん)で、「普通(ふつう)の」生活(せいかつ)ができなかった。他(ほか)の人(ひと)は、元気(げんき)で、仕事(しごと)をしたり、好き(すき)なことをしたりしているのだが、自分(じぶん)はみんなと同じ(おなじ)ようにできないという悲しい(かなしい)気持ち(きもち)を感じ(かんじ)ているのだと思う(おもう)。誰(だれ)でも、他(ほか)の人(ひと)ができていることが、自分(じぶん)はできなくて、自分(じぶん)が他(ほか)の人(ひと)と違う(ちがう)と思っ(おもっ)たとき、このような気持ち(きもち)になるのではないだろうか。

参考(さんこう)) 他(ほか)の石川(いしかわ)啄木(たくぼく)の短歌(たんか)

はたらけど (はたらいても)

はたらけど猶(なお)わが生活(くらし)楽(らく)にならざり (はたらいても まだ 私(わたし)の 生活(せいかつ)は 楽(らく)に ならない)

ぢつと手(て)を見る(みる) (じっと手(て)を見る(みる))

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